法律コラム

Q&A<コンプライアンス・不祥事対応>ついに今年(2022)年4月1日スタート! 成年年齢の引き下げで何が変わる?

2022.01.25

 成年年齢の引き下げ(20歳→18歳)に関する民法改正が、遂に今年(2022年)4月1日から施行されます。

成年年齢の引き下げ(20歳→18歳)

 これまで成年年齢…つまり、一般的に大人(成人)として取り扱われる年齢は「20歳」とされてきましたが、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。

 今回の改正で成年年齢が18歳に引き下げられることで、何が変わり、何が変わらないのか。本人・家族だけでなく、社会全体にも影響がありますので、知っておく必要があります。

 

変わること

①親(親権者)の同意がなくても、一人で契約できます。

 親(親権者)の同意を得ることなく、一人で、様々な契約ができるようになります。例えば、これまで親の同意が必要だった携帯 電話を購入する・マンションを賃貸する・クレジットカードをつくる等様々な契約を、親(親権者)の同意が不要となり、一人でできるようになります。

②契約以外にも、一人でできることが増えます。

 契約以外にも、10年有効パスポートの取得や性別の取扱いの変更審判(家庭裁判所)を受けることなど、一人でできることが増えます。

③婚姻できる年齢が男女共に18歳になります。

 女性が婚姻できる年齢が16歳から18歳へと引き上げられます。その結果、結婚できる年齢は男女ともに18歳となります。

 *ただし、2022年4月1日時点で16歳以上の女性は、2022年4月2日以降も18歳未満での婚姻が認められます。

 

変わらないこと

①お酒やたばこは、これまでと同じ20歳です。

 成年年齢は18歳になりますが、お酒やたばこの年齢制限は現在と同じ20歳です。競馬や競輪といったギャンブルの年齢制限も現在と同じ20歳です。

②養育費の支払いも、これまでと同じ20歳までです。

 養育費の支払は、子が成年するまでと決めていた場合でも、決めた時に成年年齢が20歳であれば、子が20歳になるまで、養育費を支払わなければならないと考えられています。成年年齢が引き下げられても、養育費の支払期間が当然に変更されるわけではないことに注意する必要があります。

③成人式は各自治体が判断し、多くの自治体では、これまでどおり20歳が対象となっています。

 成人式の対象年齢は、法律で決まっておらず、各自治体が判断することになっています。多くの自治体では、これまでどおり20歳の方を対象とすることとなっています。

④選挙権は、これまでと同じ満18歳以上です。

 選挙権年齢は、すでに満18歳以上に引き下げられており、これからも満18歳以上の方は選挙権を有します。

 

今後の影響

 これまで、人生の大きな節目として認識されてきた「20歳(はたち)」という成年年齢。これが変わることによって、個人の責任範囲が変わり、社会にも大きな変化をもたらします。

 本人や家族だけでなく、事業者(法人)もサービスを提供する上で、成年年齢に達することが法的にどういった意味を示すのか、いま一度確認しておくことが必要です。

 例えば、成年年齢が変わることで、18歳以上であれば、単独で契約を申し込み、サービスを利用できるようになります。そうすると、「未成年者取消権」(未成年者が親の同意なしに行った契約について取り消すことができること)の適用範囲が変わり、悪徳商法による消費者被害の拡大も懸念されています。

 また、これまで20歳以上をサービスの利用条件としたり、20歳未満の場合、親の同意を必要としていた場合、ルール変更も検討する必要があります。

 

 弁護士法人かける法律事務所では、法人向けサービスならびに個人向けサービス、さまざまなご相談に対応しています。成年年齢の引き下げによって困ったこと、わからないことがあったときは、個人・法人を問わず、お気軽に、お問合せください。