今度焼肉屋を開業する兄から、金融機関から事業資金を借りるために、連帯保証人になってほしいと言われました。連帯保証人になった場合、どんな責任を負いますか?
連帯保証人は、主債務者と連帯して(=主債務者と同じ立場で)債務の責任を負います。
1 保証人/連帯保証人とは?
まず保証人とは、主債務者がその債務を返済しないときに、主債務者とともに、その返済する責任を負う立場にある人をいいます。連帯保証人の場合は、主債務者と「連帯して」その返済する責任を負います。
<想定される連帯保証人の例>
①会社(主債務者)が銀行(債権者)からお金を借りるとき、会社の代表者が連帯保証人になることを求められる。
②店舗の賃貸借契約を締結するとき、賃借人の債務(負債)の履行を確保するため、賃借人の親族が連帯保証人になることを求められる。
2 連帯保証人の責任
単純保証と違い、連帯保証人の場合は、主債務者と「連帯して」責任を負うため、以下の責任が加重されます。
①催告の抗弁なし…債権者に対し、まずは主債務者へ請求するようにという反論ができません。
②検索の抗弁なし…主債務者に返済資力があることを証明しても、主債務者の資産から回収するようにという反論ができません。
③分別の利益なし…保証人が複数人いた場合でも、各連帯保証人が全額返済する責任を負います。
(例:1200万円の借金について連帯保証人が3人いても、債権者に対し各連帯保証人が1200万円全額を支払う責任がある。)
3 連帯保証人になるための手続
連帯保証人になるためには、債権者との間で保証契約書を作成する必要があります。(口頭ではできません。)
また、2020年4月1日施行の民法改正以降、事業用融資の保証人については、保証契約書の作成に加えて、公証人による保証意思の確認が必要となりました。
ただし、以下の場合は、公証人による保証意思の確認が不要とされています。
<公証人による意思確認が不要なケース>
①主債務者が法人であり、保証人がその法人の取締役や大株主等の場合。
②主債務者が個人であり、保証人がその個人と共同で事業を行う共同事業者や、その主債務者の事業で一緒に働く配偶者(夫・妻)の場合。
本件の場合、主債務者は兄であり、共同事業者でもないため、金融機関から融資を受けるときに連帯保証人となるためには、公証人による保証意思の確認手続が必要となります。
4 連帯保証人は途中で辞退できる?
連帯保証人は、主債務者に代わってその債務を返済する責任を負うため、過大なリスクを負うことがあります。また連帯保証人となった場合、原則、債権者の同意がなければ一方的に辞退することは難しいため、責任の範囲を理解しないまま安易に応じてしまわないよう注意してください。
5 ポイントまとめ
1.連帯保証人は、主債務者がその債務を返済しないとき、「連帯して」返済する責任を負う。
2.保証人になる手続は、法律で定められており、原則、保証契約書が必要となる。
3.保証人となった後に、自由に保証人を辞めることはできない。
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