幼稚園に通っている息子が幼稚園で絵を描きました。他人から見ると、上手な絵ではないかもしれませんが、この絵にも著作権はありますか。
その子どもの個性が現れていれば、絵が上手いかどうかに関係なく、著作物として著作権で保護されます。
1 著作権とは
著作権とは、著作者の「著作物」に対する財産的利益を保護する権利(財産権)をいい、著作権法で利用行為(例えば、複製等)ごとに規定されています。
著作権が認められると、著作権を侵害する行為に対して差止請求や損害賠償請求が認められます。また、著作権法では、著作権侵害に対して刑罰規定も定められています。
2 著作物とは
著作権は、あくまで著作物を保護対象とする権利であるため、著作物といえるかどうかを確認しなければなりません。
<著作物の要件(著作権法2条1項)>
①「思想又は感情」を
②「創作的」に
③「表現したもの」であって
④「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
著作物と認められるためには、この4つの要件をすべて満たす必要があります。
3 「創作的」とは(要件②)
「創作的」とは、裁判例では、比較的緩やかに解釈されており、独創的なものであるとか、斬新なものであるとかは要求されておらず、何らかの個性が発揮されていれば足りると解釈され、著作物であることを広めに認める傾向にあります。
つまり、著作物には芸術的な価値の優劣に関係がなく、「落書き」であっても、そこに人の考え方や思想が表現されていれば、著作物として保護されます。
そのため、子どもが書いた絵でも、その絵が上手かどうか関係なく、通常は何らかの個性が発揮されているため、創作性が認められ、著作物といえます。
4 人以外が作成した絵
それでは、動物が描いた絵はどうでしょうか。動物園などで、猿や象が絵を描く光景を見たことがあるかも知れません。
現在の著作権法では、著作物の要件である「思想または感情の表現」とは、人間の精神活動であることを想定しています。つまり、動物の場合、思想や感情を表現しているとは考え難く、人間の精神活動ではないため、その絵を「著作物」と認めることは、困難なように感じます。
また、AI(人工知能)が作成した著作物については、議論が展開されているところで、その著作物性が肯定される日も、そう遠くはないかも知れません。
5 ポイントまとめ
1.著作権とは、著作者の「著作物」に対する財産的利益を保護する権利である。
2.創作性とは、何らかの個性が発揮されていれば足り、広く解釈される傾向にある。
3.芸術的な価値に関係なく、子どもが書いた絵も著作物として保護される。
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