当社のビジネスモデルに関連する判決文が、裁判所のウェブサイトで公開されました。この判決文を会議で配布しても、著作権侵害となりませんか?
判決文は、著作権法で著作権の対象から除外されているため、著作権侵害にはなりません。
1 著作権とは
著作権とは、著作者の「著作物」に対する財産的利益を保護する権利(財産権)をい い、著作権法で利用行為(例えば、複製等)ごとに規定されています。
著作権が認められると、著作権を侵害する行為に対して差止請求や損害賠償請求が認められます。また、著作権法では、著作権侵害に対して刑罰規定も定められています。
2 著作物とは
著作権は、あくまで著作物を保護対象とする権利であるため、著作物といえるかどうかを確認しなければなりません。
著作物とは、
①「思想又は感情」を
②「創作的」に
③「表現したもの」であって
④「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
といえる必要があります(著作権法2条1項)。つまり、著作物と認められるためには、この4つの要件をすべて満たす必要があります。
判決文も上記4つの要件を満たすため、「著作物」といえます。
3 著作権の対象とならない著作物
もっとも、著作権法13条では、著作物に該当するとしても、著作権の対象にならないものを列挙しています。これは、その著作物の性質上、広く国民に開放して利用してもらう必要があるからです。
①憲法その他の法令
②国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
③裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
④上記①から③の翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
判決文は、上記③に該当するため、著作権の対象になりません。
*国等が作成した法令等のデータベースは、編集物からデータベースが除外されているため(著作権法12条1項)、著作権の対象になっている点には注意する必要があります。
*判決文の解説記事・論文は、著作権の対象となるため、著作権侵害(複製権侵害等)とならないように注意する必要があります。
4 ポイント
1.著作権とは、著作者の「著作物」に対する財産的利益を保護する権利である。
2.著作物の性質上、著作物であるとしても、著作権の対象にならないものがある。
3.憲法その他の法令に加えて、裁判所の判決や決定も著作権の対象にならない。
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