法律コラム

Q&A<知的財産権・著作権トラブル対応>料理レシピに著作権は認められるのか?著作物の基本ルールについて、弁護士が解説します。

2022.08.19

私が開発した料理レシピが他人に真似されてしまいました。著作権侵害を主張することができますか。

料理レシピそれ自体は著作物とはいえませんが、料理ブログ等で「表現」されている場合、真似のされ方によって著作権侵害といえることはあります。

1 著作権とは

 著作権とは、著作者の「著作物」に対する財産的利益を保護する権利(財産権)をい い、著作権法で利用行為(例えば、複製等)ごとに規定されています。

 著作権が認められると、著作権を侵害する行為に対して差止請求や損害賠償請求が認められます。また、著作権法では、著作権侵害に対して刑罰規定も定められています。

 

2 著作物とは

 著作権は、あくまで著作物を保護対象とする権利であるため、著作物といえるかどうかを確認しなければなりません。

 著作物とは、

①「思想又は感情」を

②「創作的」に

③「表現したもの」であって

④「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」

 といえる必要があります(著作権法2条1項)。つまり、著作物と認められるためには、この4つの要件をすべて満たす必要があります。

 

3 「表現したもの」とは?

 著作物として保護されるためには、「表現したもの」であること、単に頭の中で考えているだけでは足りません。何らかの方法で「表現した」こと、すなわち他者から認識可能な状態になっていることが必要です。これを言い換えると、アイデアそれ自体は著作権法では保護されないことを意味します。

 

4 料理レシピを守るためには

 「料理レシピ」それ自体を開発したとしても、「表現」されず、アイデアで留まる限り、著作物といえず、著作権が認められません。他人に模倣されたとしても、権利侵害を主張することができないことには注意する必要があります。

 ただ、料理レシピを記載した料理本や料理ブログの記事を作成したときは、「表現したもの」にあたるため、著作物といえます。また、料理を撮影した写真や動画も「著作物」です。

  大阪地判令和2年1月27日(平成29年(ワ)12572号)でも、スペイン料理のシェフとコラボしたレシピブックについて、「料理やシェフの写真,料理のレシピを選択,分類し,料理ごとに配列したものであり,編集物の素材である料理等の写真及びレシピの選択及び配列には,一応,編集者の個性が表れている」とし、著作物(編集著作物)であることを認めています。

 そのため、料理本、料理ブログや動画・写真を、他人にそのまま転載されている場合、著作権侵害を主張できる可能性があります。

 また、著作権による保護だけでは十分でない場合も多いため、他の知的財産法による対応(特許、不正競争、営業秘密等)も検討する必要があります。

 

5 ポイント

1.著作権とは、著作者の「著作物」に対する財産的利益を保護する権利である。

2.アイデアそれ自体は著作物といえず、料理レシピも直ちに著作物とはいえない。

3.料理レシピを守るためには工夫が必要である。

 

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