法律コラム

Q&A<契約書対応>委任契約(コンサルティング契約)の解除について、弁護士が解説します。

2022.08.26

当社は、建築関係の請負会社ですが、A社との間で業務改善のためのコンサルティング契約を締結しています。A社とのコンサルティング契約は解除できますか。

委任契約は解除できますが、損害賠償責任が発生しないように注意する必要があります。 

1 委任契約の締結

 まず、契約を解除できるかどうかを検討するためには、A社とのコンサルティング契約の性質を確定する必要があります。

 今回の相談事例では、業務改善に向けたコンサルティング契約ということで、「委任契約」(準委任契約)と判断されるケースが多い類型です。

 取締役任用契約や業務委託契約も「委任契約」(準委任契約)と判断されることが多く、実務的には、「委任契約」(準委任契約)は、よく使われる契約類型であり、重要な契約の一類型です。

 「委任契約」とは、委任事務を相手方に対して委託することを内容としており、受託者は、善管注意義務(=思慮分別をもって慎重に行う義務)を負って委任事務を処理し、必要であれば委任者への報告などが求められます。

 

2 委任契約の解除

(1)委任契約書がある場合

 委任契約の条件を書面(委任契約書)で作成している場合、まずは、解除理由(ルール)について、委任契約書を確認する必要があります。委任契約書に規定された解除理由に従って、委任契約を解除します。

(2)委任契約書がない場合

 一方で、委任契約書を作成していない場合、民法では、契約当事者は、いつでも委任契約を解除することができるとされています。

 もっとも、やむを得ない事由がある場合を除いて、①相手方に不利な時期に委任契約を解除したときや、②委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)を目的とする委任を解除したときは、相手方の損害を賠償しなければなりません。

 そのため、委任契約を解除するときは、解除にやむを得ない事由があるのか、相手方に不利な時期に委任契約を解除する場合に該当しないかなど、慎重に検討する必要があります。 

 

3 委任契約の終了

 委任契約を解除するとき、損害賠償のリスクもあるため、委任契約書において、契約期間を定めている場合には、契約期間の満了によって委任契約を終了させるという選択肢もあります。

 委任契約の自動更新の規定(*)がある場合、自動更新の拒否について、いつまでに通知しなければならないかを確認しておく必要があります。

*自動更新の規定例…「本委任契約は、契約期間満了日の2か月前に当事者の一方から更新を拒否する旨の書面による申出がない限り、同一の条件で更新され、その後も同様とする。」

 

4 ポイント

1.委任契約の期間を定めていなくても、委任契約を解除できる。

2.委任契約を解除するとき、損害賠償責任が発生しないように注意する必要がある。

3.委任契約の満了期間を確認することで無用なトラブルを回避できる。

 

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 弁護士法人かける法律事務所(”KLPC”)では、「契約書や規約の作成」や「顧問契約」サービスを提供しており、法務的な視点から、委任契約書の解除・終了原因が適切に記載されているかをチェックし、アドバイスします。

 また、「紛争・訴訟」対応サービスでは、委任契約の解除通知書の作成・送付や解除に伴うトラブル・紛争(損害賠償請求を含む。)にも対応しています。

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