法律コラム

Q&A<知的財産権・著作権トラブル対応>著作権について弁護士ができる3つの対応・法的措置

2023.02.24

 著作権問題は、法的にも専門性の高い分野であるため、トラブルが起こってからの問題解決では回復が困難となるケースもあります。また、著作権問題を取り扱う弁護士も多いとはいえないため、トラブルが発生した後に、すぐに相談できる弁護士を見つけることも難しい分野といえます。

 そのため、著作権のトラブルを回避するためにも、また、重大な損害・リスクを回避するためにも、事前に弁護士に相談し、有効な法的措置を講じておくことが大切です。

相談例

  • 「私が制作したコンテンツがインターネット上に無断で流通している」
  • 「著作権侵害であるという警告書が届いた」
  • 「著作権に関する契約書を渡されたが、締結していいかどうかわからない」

著作権トラブルの対応・法的措置とは

 著作権トラブルを事前に回避するための対応・法的措置としては、以下の3つがあり、弁護士に依頼することで、トラブルを予防するとともに、万が一、トラブルが発生したときでも迅速かつ合理的な解決が期待できます。

  1. 著作権の事前チェック
  2. 著作権の契約書の作成
  3. 著作権に関する交渉、訴訟対応を弁護士に依頼することでトラブルを迅速かつ合理的な解決が期待できます。

①著作権の事前チェック

 例えば、ビジネスの場面において、何か新規事業を展開しようとするとき、利益が得られそうな新しいものを思いついたが、「あれ?これは事業として行っても法的に大丈夫かなぁ?」「この新商品の販売は誰かの著作権を侵害していて、後から訴えられたりしてトラブルにならないかなぁ?」と心配になることはありませんか?

 そんなときには、事前に弁護士に新規事業の内容や新商品・サービスについて説明し、「他人の著作権を侵害しないか」 (著作権侵害の有無) を法的観点からチェックしてもらった方がよいでしょう。

 著作権に関する問題は、法律問題の中でも専門性の高い分野であるため、専門的知識や経験を有していなければ、判断を誤るおそれがあります。

 例えば、著作権侵害の有無を判断するには、対象著作物について、著作権の範囲と新規ビジネスや商品・サービスの内容を分析し、法的に比較検討する必要があります。

 そのため、社内のチェックでは、著作権を侵害しないと判断していたものが、実は他人の著作権を侵害していることが後から分かるという事態も想定されます。そうなると、既に新規事業の準備や新商品の販売に着手してしまっていた場合、その投資が無駄になり、損害を被ることもあります。

 何か新しいことを始める際には、著作権について専門家である弁護士に事前にチェックしてもらうことが、これらのリスクを未然に回避できる有効な法的措置となります。

②著作権の契約書の作成、チェック

 著作権の契約書を作成する場面として、主に、著作権者が第三者に対し、著作権の全部又は一部を譲渡する場合や利用許諾する場合 (ライセンス) が考えられます。

 著作権を譲渡したり、その利用を許諾したりする場合には、後にトラブルにならないよう、契約内容を確定しておく必要があります。また、その内容も法律に沿ったものでなければ意味がありません。

 例えば、著作権法上、著作者人格権 (公表権、氏名表示権、同一性保持権) は、著作者の一身に専属し、譲渡することができないとされているため (著作権法59条) 、これを譲渡する内容を取り決めても法的には無効です。

 また、著作権のうち、翻訳権や翻案権について、譲渡する際には契約内容として特別に明記しなければ有効に譲渡したことにはなりません。著作物の利用許諾も、利用条件を明確に確定しておかなければトラブルの原因になりかねません。

 著作権の契約を締結する際には、事前にその内容を弁護士にチェックしてもらうことが、これら不測の事態やトラブルを未然に回避するためにできる有効な法的措置となります。

③著作権にまつわる交渉、訴訟対応

 著作権にまつわる交渉や訴訟対応が必要となる場面としては、他人に著作権を侵害された場合と他人の著作権を侵害した場合の両者が考えられます。

 ひとたび著作権のトラブルが発生した場合、直ちに訴訟に発展することもあります。その際には「著作物」「、著作権者」、「侵害大洋」の特定や立証について、専門知識が必要とされるものが多くあります。

 また、訴訟期日に出廷や証拠を精査し主張書面を作成しなければならず、労力や時間を要します。そのため、訴訟対応の専門家である弁護士に依頼する方が、煩雑な訴訟手続への対応や主張書面の作成を迅速かつ効果的に行うことができるでしょう。

 また、訴訟に発展する前後を問わず、著作権トラブルが発生した場合には、相手方と交渉し、和解を締結したり、著作物の利用許諾契約を新たに締結したりするなどして、トラブルを早期に解決する方が両者にとってメリットとなることもあります。

 このようなトラブル対応に慣れている弁護士に交渉を代理してもらうことで、法的観点からも妥当な解決を図ることができるでしょう。

 著作権にまつわる交渉、訴訟対応が必要となる際には、弁護士を代理人として立て、弁護士を通じて交渉、訴訟を進めることが、結果的には当事者の負担や不利益を軽減し、より満足のいく結果を得るために有効な法的措置となります。

著作権問題について弁護士に依頼するメリット

 著作権問題は、法律問題の中でも専門性が高い分野です。そのため、著作権問題は、著作権法を中心とする専門的な知識・経験がなければ適切な対応をすることが困難です。

 その一方で、著作権問題を中心に取り扱っている弁護士であれば、著作権法に関する知識・理解についてはもちろん、実際の著作権問題の事案対応経験もあるので、より迅速かつ効果的な対応を提案できます。

 弁護士法人かける法律事務所には、著作権問題に対応できる弁護士が複数、在籍しております。大切な著作権が侵害されたと思ったら、まずはお気軽にご相談してください。

細井 大輔

このコラムの執筆者

代表弁護士細井 大輔Daisuke Hosoi

弁護士紹介ページはこちら