私は中小企業の社長で、取引先が売掛金を払ってくれないので、裁判をして、判決を取得しました。ただ、強制執行するための取引先の預金口座がわかりません。
弁護士照会を利用すれば、取引先の預金口座情報を知ることができることがあります。
弁護士照会とは
弁護士照会制度とは、弁護士法23条の2に基づき、弁護士が受任している事件について、事件に関する証拠や資料を収集して、事実を調査する制度のことです。弁護士照会のことを「23条照会」ともいいます。
弁護士照会では、弁護士が受任している事件の解決に必要とされる以下のような情報を 収集することができます。
(弁護士照会ができる情報の例)
- 銀行から、口座の有無・口座残高・口座の入出金状況
- 保険会社から、保険加入状況の有無
- 電話会社から、電話番号・氏名・住所
- 証券会社から、株式取引の有無
- 医療機関から、症状や治療の記録
- 警察署から、交通事故の実況見分の記録
- 勤務先から、住所や給与
※弁護士照会は、弁護士のみが行うことができます。
弁護士照会の利用方法
弁護士照会を行う場合、照会を行う弁護士は、情報を収集したい照会先に直接照会を申出するのではなく、弁護士の所属している「弁護士会」に対して照会の申出を行います。そして、申出を受け付けた弁護士会が内容を審査した上で照会先に照会し、照会先の回答を得て、弁護士に照会の回答を交付します。
より具体的な利用方法は、以下のとおりです。
- 弁護士が所属弁護士会へ「照会申出書」を提出する
弁護士は、所定の照会申出書に必要事項や申出の理由を記載して、必要な部数を作成し、所属の弁護士会へ照会申出書を提出します。
様式や提出方法は、各弁護士会によって異なる場合がありますので、事前に所属する弁護士会に確認する必要があります。 - 弁護士会が照会申出書の内容を確認する
弁護士会は、弁護士から提出された照会申出書に記載されている内容が、調査する必要性があるものかどうか審査します。 - 弁護士会が照会先に「照会書」を送付する
弁護士から提出された照会申出書に記載されている内容に必要性があると認められた場合、弁護士会が、照会先の官公庁や企業等に「照会書」を送付します。 - 照会先から弁護士会に「回答書」が送付される
照会先から照会書の内容に基づいて、弁護士会に回答書が送付されます。 - 弁護士会から弁護士に回答書が交付される
弁護士会が、照会先から送付された回答書を、申出をした弁護士に交付します。
預金口座と弁護士照会
弁護士照会は、弁護士が受任している事件について、口座の有無・口座残高・口座の入出金状況等を調査することができます。
強制執行手続によって口座を差し押さえようとする場合、銀行及び支店名まで特定して裁判所に申し立てる必要があります。したがって、銀行は分かっているがどの支店に口座を持っているかまでは分からない場合、その支店を調査する必要があります。
この場合、銀行の本店に弁護士照会を行うことで、相手方が、どの支店に預金を有しているか調査することができる場合があります。これを「全店照会」といいます。
もっとも、全店照会についてはすべての銀行が対応しているわけではなく、全店照会に対応していない銀行もあります。
したがって、照会をしたい銀行が全店照会に対応しているかどうかを事前に確認する必要があります。弁護士会の方で、全店照会をしている銀行の情報を公表しています。
※2020年4月から民事執行法が改正され、裁判所に申し立てをする財産調査の手続として、「預貯金債権等の情報取得手続」が設けられました。これにより、全店照会をしていない金融機関についても、口座の有無や残高を調査することが可能になりました。
ポイント
- 債務名義があれば、預金口座の有無・残高を知るために弁護士照会の利用が有効です。
- 全店照会ができる銀行であれば、支店を特定する必要がありません。
- 弁護士照会は、弁護士に依頼できます。
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