法律コラム

Q&A<債権回収>預金口座への差押えについて、弁護士が解説します。

2023.03.27

私は中小企業の社長で、取引先が売掛金を払ってくれないので、裁判をして、判決を取得しました。相手の会社から返済を受けることができません。相手の会社が利用している預金口座は把握しています。どうしたらいいでしょうか?

裁判所へ強制執行手続の申立てを行い、差押えを行います。

強制執行とは

 強制執行とは、債権者が債務者に対して金銭の支払等を命ずる判決を取得したにもかかわらず、債務者が支払等をしないときに、債権者が裁判所に申立てをして、債務者の財産から強制的に支払をさせる手段のことをいいます。

 強制執行の種類ですが、執行対象とする財産の種類に応じて、以下のように分類することができます。

  • 債権執行・・・預貯金、給与
  • 動産執行・・・現金、家財道具、商品類、貴金属
  • 不動産執行・・・土地、建物、地上権

預金口座に対する強制執行の手続

 預金口座に対する強制執行をする場合、一般的な手続の流れは以下のとおりです。

  1. 債務名義を取得する。
    債務名義とは、判決、和解調書、調停調書のような、裁判所に強制執行を申し立てる資
    格を示す文書のことをいいます。まずは、債務者に裁判や調停等を提起し、これらの債務 名義を取得します。
  2. 預金口座の調査を行う。
    債務者の預金口座の情報が判明していない場合、弁護士照会や裁判所における財産開示手続等を利用し、金融機関に対し、債務者名義の預金口座の有無や残高の調査を行います。
  3. 申立に必要な書類を取得・作成する。
    強制執行の申立てに必要な書類を取得し、申立書一式(債権差押命令申立書、当事者目録、請求債権目録、差押債権目録等)を作成します。
  4. 裁判所に債権差押命令の申立を行う。
    申立書類一式を「債務者の住所地を管轄する地方裁判所」に提出して、申立を行います。債務者の住所地が分からないときは、差し押さえたい債権の所在地(銀行預金を差し押さえる場合はその銀行の所在地)を管轄する地方裁判所に提出します。
  5. 書類審査後、差押命令が発令され、差押命令正本が送付される。
    裁判所が書類を受領し、強制執行の申立てが適法と認められたときは、債権差押命令が発令され、債務者と第三債務者(差押先の金融機関)に送付されます。
  6. 第三債務者から裁判所に陳述書が返送される。
    第三債務者から裁判所に、対象の預金口座の残高が記載された陳述書が返送され、裁判所から債権者に送付されます。
  7. 差押債権がある場合、差押債権から取立を行う。
    預金口座の残高が存在する場合、債務者に債権差押命令が送達された日から1週間を経過すれば、債権者は、第三債務者(差押先の金融機関)に対して取立をすることができるようになります。
  8. 取立完了後、裁判所に取立届を提出する。
    取立完了後、その旨を記載した取立届を裁判所に提出します。

強制執行のために必要となる資料

 強制執行のために必要となる資料は、一般的に以下のとおりです

(必要資料)

  • ①債務名義(判決、和解調書、調停調書等)の正本
  • ②送達証明書(債務者が債務名義を受け取った証明書)
  • ③執行文(強制執行ができる証明)
  • ④債権差押命令申立書
  • ⑤当事者目録、請求債権目録、差押債権目録

ポイント

  1. 債務名義(判決、和解調書等)があれば、預金口座に対して強制執行ができます。
  2. 強制執行によって、預金口座が特定され、残高があれば、強制的に回収できます。
  3. 強制執行のためには必要資料を収集し、申立書類を作成する必要があります。

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