新規事業を開始するため、取引先に依頼することが多くあります。契約書を作成したほうがいいですか?
取引条件の明確化や証拠化のためには契約書が必要ですし、法令(法律)によって契約書の作成が義務付けられる場合もあります。
ポイント
- 契約は、原則として口頭でも成立します(契約方式の自由)。
- 合意内容の明確化・証拠化のために契約書は必要です。
- 法令で契約書の作成が求められることがあります(コンプライアンス遵守)。
契約書とは?
契約書とは、契約当事者間の合意内容を明確にして、契約当事者間に権利義務を発生させるため、契約当事者が署名押印等した文書をいいます。
覚書、念書、合意書も、「契約書」という名称ではありませんが、契約書の一類型です。
契約書の具体例
契約書の具体例は、以下のとおりです。契約書には、様々な類型があります。
- 売買契約書
- 賃貸借契約書
- 業務委託契約書
- 秘密保持契約書
- 建設請負契約
- 運送契約書
口頭でも契約は成立する?
日本の法律(民法)では、契約書を作成しなくても、口頭で契約が成立するとされており(契約方式の自由)、実は、契約書がなくても、口頭で合意すれば、契約は成立します。
民法522条2項:
契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
契約書が必要となる理由
もっとも、企業間における取引や重要な取引では、契約書を作成することが一般的であり、事後的な紛争・トラブルを回避し、取引を円滑に進めるためにも、契約書の作成が必要となります。
- 合意内容を明確にする。
- 合意内容を証拠として残す。
- 法令によって契約書の作成が必要となる。
① 合意内容を明確にする。
契約書を作成すれば、合意内容が明確となり、後日のトラブル・紛争を未然に回避し、円滑な取引を促進することができます。もし契約書がなければ、取引の対象となる商品やサービス内容が不明確となり、商品・サービスの提供後にトラブルが発生してしまうことがあります。また、代金や支払条件を契約書で決めていないと、不信感を生じさせ、継続して円滑な取引ができないことがあります。
また、取引条件を履行できなかった場合、契約書がなければ、どのようなペナルティ(制裁)が発生するかどうかも不明となり、甚大な損害(リスク)を被る場合もあります。
合意内容(取引条件)を明確にするためにも、契約書は作成することが望ましいといえます。
② 合意内容を証拠として残す。
取引を行ったとき、商品やサービスが十分に提供されなかった、また、代金が支払われなかったというようなトラブルが発生するときがあります。このようなトラブルが発生したとき、最終的には、裁判手続によって権利行使する必要があります。もっとも、裁判手続で権利行使するためには、「証拠」が必要となります。「証拠」がなければ、裁判手続で権利行使が認められないことがあります。
裁判手続では、契約書が重要な「証拠」となり、権利行使を容易にします。もし契約書がなければ、実際に商品やサービスを提供したとしても、代金額や支払条件を立証することができず、代金の支払いを受けることができないケースも多くあります。
口頭の合意だけでは、代金や支払条件が不明確となり、もしものとき、裁判手続で権利行使することができなくなるため、合意内容を証拠として残すためにも、契約書の作成が必要となります。
③ 法令によって契約書の作成が必要となる。
法令によっては契約書の作成が求められることがあります。
例えば、保証契約では、保証人がその責任を十分に理解していないこともあり、その責任も課題になることもあるため、保証人を保護するという観点から書面の作成が必要となります(民法446条2項)。
また、建設業法や下請法(下請代金支払遅延等防止法)の対象となる取引では、契約書の作成が求められることがあり、契約書を作成しなければ、建設業法や下請法(下請代金支払遅延等防止法)に違反していると判断され、コンプライアンス(法令遵守)の観点から問題となることがあります。
以上のとおり、契約の類型によっては法令によって契約書の作成が必要となることがあるため、注意する必要があります。
民法446条2項
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない
契約書の作成は法律事務所(弁護士)に依頼できます。
契約書の作成は、法律事務所(弁護士)に依頼できます。企業法務や紛争・訴訟対応に精通している弁護士だからこそ、できることが多くあります。特に、顧問契約サービスを利用すれば、契約書の作成について、よりリーズナブルで、迅速かつ適切な対応が可能となり、円滑な取引の促進につながります。
具体的な相談例:
- 契約書を作成したいが、契約書のひな形がほしい。
- 取引先から契約書を提示されたが、リスクがないか、問題がないかどうか知りたい。
- 契約書を修正したいが、修正方法がわからない。
- 覚書を作成したい。
- 契約書を作成しない場合、リスクの程度や内容(民事・刑事・行政)を知りたい。
- 法務部がないため、契約書チェックに対応できる人材がいない。
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