法律コラム

Q&A<インターネット誹謗中傷対応>企業におけるインターネットの風評被害対応ーソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)が必要となる理由を弁護士が解説します。

2024.08.23

よくある相談例

  1. 企業における風評被害の予防を徹底したい。
  2. 従業員によるSNSの利用方法に不安がある。
  3. 従業員のSNSの利用によって、重要な取引先から取引を打ち切られた。

インターネット上の風評被害とは?

 インターネット上におけるソーシャルメディア(SNS、電子掲示板、ブログ、投稿サイト、情報共有サイト)において、根拠がない噂やデマ、虚偽の事実等が流布され、企業や商品・サービスに対する信用が低下することをいいます。

被害事例:

  1. 嫌がらせ目的で商品に対するデマの口コミが複数行われ、商品の評価が低下している。
  2. SNSで、犯罪集団と言われている。
  3. 従業員と思われる人物がSNSで社内の間違った情報を拡散している。
  4. 匿名のSNSアカウントが自社のサービスを一方的に非難する投稿を繰り返し、お客様から問合せや解約が発生している。
  5. 有名なインフルエンサーが自社の誤った情報やデマを拡散し、対応に追われている。
  6. インターネット掲示板で、ブラック企業等の書込みが頻繁に行われ、採用面接で書込みの内容について質問を受けた。

インターネット上の風評被害対応が必要となる理由

 インターネットやSNSが普及した現代社会ではインターネット上の風評被害を放置すると、企業の価値やブランドの重大な毀損が生じます。その結果、具体的なリスクが顕在化することがあります。

風評被害による具体的なリスク:

  1. 商品やサービスの信用が低下し、売上が減少する。
  2. 人材離れや人材の採用が困難となり、採用コストが増加する。
  3. 金融機関等から借入が困難となって、資金繰りが悪化する。
  4. 経営者・役員や担当者の心理的負担が増加し、本来的な業務に専念できず、サービスの開発や普及が遅れる。

 もちろん、すべての口コミや投稿に対応できないのではないか?膨大な時間や費用が必要になってしまうのではないか?という理由で、昔は、放っておくしかないと考える会社や経営者も多かったかもしれません。

 ただ、最近は、企業だけでなく、SNSを活用するインフルエンサーや著名人の方からの相談も増えています。インターネット上の風評被害による信用やブランディングの低下は深刻です。

 効果的な風評被害対応を行うことによって、風評被害による問題解決は可能です。風評被害対応では、感情的にならず、冷静に、かつ、迅速な判断が必要です。

効果的な風評被害対応を行うための検討ポイント:

  1. 現状の正確な把握
  2. 明確な目的(目標)の設定
  3. 複数の選択肢から合理的な戦略やステップ(スケジュール)の選定
  4. メリット(効果)を意識した費用や予算の検討・確保

インターネット上の風評被害対応とは?

 インターネット上の風評被害対応は、大きく分けて、①予防方法と②発生時の対応方法があります。①予防方法には、以下の内容がありますが、本コラムでは、ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)の策定について、詳しく解説します。

風評被害の予防方法:

  • A. ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)の策定
  • B. コンプライアンス研修の実施
  • C. インターネット上の情報の定期的な監視(モニタリング)

ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)とは?

 役員や従業員(パート、アルバイト、派遣従業員、業務委託社員を含む。)が業務又はプライベートにおいて、ソーシャルメディア(SNS、電子掲示板、ブログ、投稿サイト、情報共有サイト)を利用するに際して、基本方針・心構えとともに、注意すべき事項や禁止事項を定めたガイドラインをいいます。

ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)の内容とは?

 ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)の内容や項目は法律で決まっているものではありませんが、以下の項目を規定することが一般的です。ただ、会社の規模や事業の性質に応じて、検討していくことが必要となります。

  1. ガイドラインの目的や適用範囲
  2. ガイドラインの基本方針
  3. ソーシャルメディア(SNS)利用の心構え
  4. ソーシャルメディア(SNS)利用の注意点
  5. ソーシャルメディア(SNS)利用の禁止事項
  6. ガイドライン違反の取扱い

 ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)では、少なくとも、以下の内容について言及しておくことが必要と思われます。

  1. 情報発信に責任とリスクを伴うことを理解し、他人に誤解を与えないこと
  2. 相手の投稿に対して傾聴する姿勢を持ち、安易な批判をしないこと
  3. 会社、事業、顧客や取引先に関する情報を発信しないこと
  4. 個人情報を含む内容を発信しないこと
  5. 一度、情報を公表すると、完全に削除することが困難なこと
  6. 業務時間中はプライベートでSNSを利用しないこと

ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)の策定の注意点とは?

①ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)では、従業員の行動を制約することにもなるため、過剰な制約とならず、会社の規模や性質に応じた合理的な内容を検討する必要があること

 ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)は、従業員の業務上又はプライベート上の行動を制約することにもなるため、過剰な制約となりすぎないように注意する必要があります。

 特に、ソーシャルメディア(SNS)に対する価値観は、年代や各自の価値観によっても大きく異なるため、ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)を策定するときは、過剰な制約となりすぎないように、その制約が必要となる根拠や理由について、丁寧に検討しておくことが必要です。

 もし制約内容について、不安があれば、外部の第三者(弁護士等)の意見も確認しておくこともおすすめします。

②ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)と就業規則の整合性を検討すること

 ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)に加えて、就業規則の整合性を検討し、服務規律の規定でも、ソーシャルメディア(SNS)の利用ルールを組み入れることによって、より実効性を確保することが可能です。

 ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)は、主に従業員に対する規制となるため、就業規則や労務管理ルールとの整合性も検討してください。

③ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)を策定するだけでなく、周知や浸透させていくことも必要であること

 ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)を策定した後、従業員等に対して、周知し、浸透させていくことも必要です。

 そのための方法として、コンプライアンス研修の一環として、ソーシャルメディア(SNS)の利用方法に関する研修を行うことも有益です。例えば、情報漏洩防止に関する研修や労務管理研修、新入社員研修の中で行うことも、是非検討ください。

SNS利用に関する研修内容 :

  • SNS利用による問題事例が増加していること
  • SNS利用によるリスクと法的責任
  • SNS利用によるリスク事例(機密情報、著作権、プライバシー等)の紹介
  • SNS利用の心構えと注意点
  • ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)の内容確認

弁護士法人かける法律事務所のサービスのご案内

 弁護士法人かける法律事務所では、企業における風評被害対応サービスを提供しています。

風評被害の予防サポート:

  1. ソーシャルメディアガイドライン(SNSガイドライン)の策定サポート
  2. SNS利用方法に関するコンプライアンス研修の実施
  3. インターネット上の情報の定期的な監視(モニタリング)のサポート

風評被害発生時の対応サポート:

  1. 広報・プレスリリースによる情報発信のサポート・アドバイス
  2. 削除請求対応
  3. 発信者情報開示請求対応
  4. 損害賠償請求や刑事告訴対応

 弁護士法人かける法律事務所では、「安心を提供し、お客様の満足度を向上させる」という行動指針(コアバリュー)に従い、各サービスを提供していますので、是非、お問合せください。

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細井 大輔

このコラムの執筆者

代表弁護士細井 大輔Daisuke Hosoi

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