
よくある相談
- 株主総会で株主の代理人による議決権の行使を拒否できますか?
- 定款で代理人を株主に限定することはできますか?
- 代理人による議決権の行使を認めるときの注意点を知りたい。
株主の議決権と代理行使
各株主は、株主総会において、原則として、株主が保有する株式1株につき1個の議決権を有しています(会社法308条1項)。
そのため、株主による議決権の行使を保障する観点から、株主は、議決権について、代理人によって行使することが認められています(会社法310条1項)。
そのため、会社は、定款で、株主の議決権の代理行使を一律に禁止することは認められていません。
会社法310条(議決権の代理行使)1項
株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。
株主の議決権の代理行使の注意点
① 定款による代理人資格の限定
株主の議決権を保障する観点から、株主の議決権の代理行使を一律に禁止することは認められていません。
もっとも、定款において、議決権の代理行使の資格を株主に限るという規定を設ける会社も多くあります。
このような代理行使の資格の制限については、株主以外の者によって、株主総会の混乱を防止し、合理的な理由に基づく相当な制限として有効と解釈されています(最判昭和43年11月1日)。
そのため、株主以外の第三者によって、株主総会の運営に支障が生じたり、混乱が予測される場合、定款によって代理人資格の限定や運用を検討する必要があります。
代理人資格を限定する定款の具体例:
- 株主は、代理人によって議決権を行使することができる。この場合には、株主総会ごとに代理権を証する書面を当会社に提出しなければならない。
- 前項の代理人は、当会社の議決権を有する株主に限るものとし、かつ、 2名以上の代理人を選任することはできない。
② 代理権を証明する書面の提出
株主の代理人による株主総会の出席や議決権の行使を許容する場合、代理権を証明する書面(委任状)を株式会社に提出してもらう必要があります。この代理権の授与は、株主総会ごとに行う必要があります(会社法310条2項)。
この書面(委任状)を十分に確認することなく、代理人と称する者に議決権の行使を認めてしまうと、代理権限が無効と主張されることもあり、株主総会を巡ってトラブル・紛争が発生してしまうことがあります。
会社法310条(議決権の代理行使)2項
前項の代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない。
③ 代理人による株主総会の出席・議決権の行使を巡るトラブル・紛争
議決権の代理行使の資格を株主に限定する定款は、有効と解釈されるものの、その適用を巡っては、慎重に判断しなければ、株主の議決権を不当に侵害するものとして、トラブル・紛争となるケースもあります。
また、代理権の行使を認めた場合でも、代理人としての権限が実際には付与されていないケースもあります。
つまり、代理人による株主総会の出席・議決権の行使について、法的判断が難しいことがあり、トラブル・紛争が発生することがあるため、注意する必要があります。紛争・トラブルを回避するためにも、具体的なケースや状況に応じた判断が必要となります。
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